【活動報告】2月の整理活動&プチ勉強会「水について考える」

2月15日(土)の整理活動は13名の参加者で行われました。

来年の1月で1000号をむかえる日本CI協会発行の機関紙『マクロビオティック』には、長い歴史的変遷があります。

創刊号は1948年8月30日に『世界政府』というタイトルでB6判の小冊子(44ページ)として発行されました。第2号からは1949年4月3日よりタブロイド判(4ページの新聞形態)で発行され、1959年2月1日、第280号から『新しき世界へ』と改題され、1960年12月、第300号よりA5判の月刊雑誌となり、1995年4月、第691号より『Macrobiotique』と改題され、現在へと続いています。

桜沢如一資料室には、タブロイド判の『世界政府』、そしてA4判の月刊誌へとなった第300号からのバックナンバーを所蔵しています。特に第300号からの60年代のものには、貴重な桜沢論文が多数掲載されているため、将来的な電子化を目指し、まずはバックナンバーの整理と目次のインデックス化を行うため作業を開始しました。

 

■プチ勉強会「水」についてを考える

マクロビオティックでよくある疑問に、「水の摂り方」があります。一般的な社会傾向として水はできるだけ多く取ることがすすめられる中、マクロビオティックでは一貫して水は摂り過ぎないよう指導されてきました。桜沢如一の水の考え方を資料から読み取り、現代における水の摂り方を考えました。

今回参照した資料は、1942年4月15日発行された『新しい栄養学』です。

新しい栄養学

『新しい栄養学』は、第二次世界大戦真っただ中に書かれた、当時最新の西洋の分析的栄養学の解説とそれに対する東洋の統合的栄養学の体系を確立しようとした野心的な大作です。体験的で直感的な食養の世界を、西洋科学的視点で対比しながら弁証法的に理論構築を試みる画期的な最重要本です。現代さまざまな栄養学の問題点が噴出するなか、すでにこの時代にことごとくその問題点を指摘しています。

【桜沢の水のについての考え】

○西洋の栄養学は「水は体内においてなんの変化も受けない」ので重要視されていない。これはビタミンや蛋白質、アミノ酸などと違って、いくら宣伝しても商売にならない。
○絶対に必要なものであり、最も多く必要とするものなので、第一に取り上げる。
○自然な水が一番よくて、井戸の水、川の水、泉の水、別に成分はやかましく言わない。
○戦地の兵隊は、泥水やぼうふら、虫のわいた水でも平気で飲んでいる。
○水道の水は大変悪い。水道の水を飲まなくてはならない時は、朝初めて水を出す時は、しばらく流して捨ててから使う。
○コーヒや紅茶やソーダ水、いろいろな清涼飲料、日本のブドー酒、合成酒、などは健康増進のためには無用有害。嗜好品であれば問題ない。
○健康増進のための日常用の茶は番茶にかぎる。
○水を多く飲むことは、美食過食階級の人々は濃厚な食事の毒が流出される。
○水を多く飲むことは、美味珍肴に常々なれていない人や植物性の食事を好む人は陰性な体質になっているから大変悪い。
○水を飲むことは陽性のアメリカから(空気の乾燥するニユーヨーク辺から)流行しはじめたので、陰性の欧州には伝染しなかった。
○アメリヵでは実際大いにのむ必要があるが、日本のような空中に湿気が多いとおころでは、なるべく飲まない方がよい。
○水をどれくらい飲むべきは難しい問題。これを一日何合とか何グラムとかきめるのは愚の骨頂である。
○飲む量は定められないが、その代り尿として排出される回数は定められる。
○成人は男子で平均一日四ー五回、女子で三ー四回が最上の生理状態で、それ以外は飲みすぎである。
○それ以上であれば腎職か膀胱かどこかに病気がある。とくに、夜中に便所に起きるのはたとえ一回でもいけない。
○養生家でよく、外国の天然水を用ひる人がいるが、身土不二の原則を破ること至れる尽くせりというべき。

【参加者の意見とまとめ】

マクロビオティックで水分を少なくするのは、まず主食として多くの穀物をとると、その穀物は体の中でエネルギーになったあと水に変わります。また、味噌汁や煮物や煮つけなど水分の多い副食をとるので食後にそれほど水分が欲しくなりません。特に日本の湿気のある環境で、日本の伝統的な食事をしている中で水分を摂りすぎると体が陰性に傾きすぎることになります。だから伝統的な日本の湯飲み茶碗は小さく作られているのです。

しかし、現代的な食事をしてきた人にいきなり水分を少なく指導することはリスクがあります。また社会環境的にも常時エアコンの中で過ごす人は乾燥した空間にいることになります。参加者の中でも、現代人の体質では桜沢の定める尿の回数では無理があるとの指摘が多くありました。また、桜沢の生きた戦前、戦中、戦後の混乱期は相当な陽性にならないと生きて行けませんでした。その意味でも陰性な時代である現代での水の摂り方も変化するのではないかとの意見がありました。

■アルゼンチンのマクロビオティック指導者ヒメナ・アルバレスさん

今回アルゼンチン出身で、リマやブラジルの菊池富美雄先生にマクロビオティックを学んだヒメナ・アルバレスさんがプチ勉強会に参加してくれました。ヒメナさんは、現在アルゼンチンでマクロビオティックの教室を開きながら、山間部の人々に伝統的なハーブを使った食事を学び、マクロビオティックに取り入れているそうです。アルゼンチンでは、マクロビオティックに関心をもつ近代医療の関係者も多いとのことで、日々自分をアップデートするために今回日本に勉強旅行にきているそうです。

アルゼンチンでも水を多く飲むことが推奨され、特に肉食の多い人々は多量の水を飲んでいるそうです。ただ、山間部の伝統的な食事にも肉は使われますが、山の人々は決して水を飲み過ぎないそうです。それはやはり山という陰性な環境の中、陽性に動き働かなくてはならないからで、水を飲み過ぎてお腹がちゃぷちゃぷしていたら危険なのだという見事な陰陽の見解を聞かせていただきました。

今回も素晴らしい差入れが集まりました。ありがとうございました!

次回は3月14日(土)13:00~に開催予定です。詳細は追ってお知らせします。

レポート
桜沢如一資料室 高桑智雄

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