【活動報告】3/17「PDF書籍ライブラリー読書会」レポート
2018年3月17日に桜沢如一資料室の活動が約8か月ぶりに再開しました。
今回は「PDF書籍ライブラリー読書会」として、1943年9月(昭和18年)、桜沢如一51歳の時の作品「バイキンの國探検」を課題図書として、12名が参加して感想をシェアしました。
第二次世界大戦真っただ中の1943年に発表された「バイキンの國探検」は、1940年(昭和15年)に子供向けに書かれた舞台劇「魔法の眼鏡」になぞらえて、「第二の魔法のメガネ」という副題がつけられていますが、内容は前年の6月に発表された「パストゥールの審判」の続編的作品です。
「英米ユダヤ細菌学批判」という副副題にあるように、ロベルト・コッホやルイ・パストゥールによって確立され西洋医学の根本的考え方である病気の原因を細菌やウィルスに求める「病原菌説」を批判し、東洋医学の叡智である食養を通じて「宇宙の秩序」を知る「万病絶対免疫法」を説きます。
前半は、子供向けに桜沢の最初の妻である栄子との間に生まれた子供たちをモデルにしたと思われる会話劇、そして西遊記になぞらえた冒険劇で細菌の世界を楽しく描写します。後半は大人向けにPUクラックス集、「社会医学」対する論考、まとめとして「万病絶対免疫法」としての「宇宙の秩序」という桜沢の根本的世界観が語られる、変化にとんだ作品となっています。
細菌やウィルスを西洋医学のように「悪」とはぜず、循環する自然の分解作用という「神(宇宙の秩序)の働き」の一つと捉え、病気の原因は、細菌やウィルスが分解する「対象物(生命なきもの)」になっている人間自身に求める態度は、マクロビオティックの根本思想であり、東洋医学の神髄です。
それらは現在注目されつつある免疫系(桜沢の絶対免疫力は、敵を想定した「抵抗力」ですらないのですが)などに、この時代ですでに言及していることを示す重要な本であったため、正食協会が長らく判を重ね、数年前まで出版されていたが、現在は残念ながら絶版となっているようです。
■参加者の感想
みなさんやはり文体の古さ、特に旧漢字の読みずらさに苦心したようですが、だんだん読み進める内に慣れて作品の面白さに引き込まれていったそうです。
・生まれ月によって陰陽があるのに驚いた。
・西遊記になぞらえたくだりが楽しかった。孫悟空が「知識欲」、猪八戒が食欲などの「情欲」、沙悟浄が征服の「意欲」という人間の本能に対応しているというところに関心した。
・細菌は陰性なので、陽性の塩に弱いというが、桜沢如一の時代は、塩気を多く取るマクロビオティックのに時代だったのは、陰性は感染症が多かったからなのかと思った。
・棒菌、球菌によって症状の出方も違うので、それでも陰陽がわかる。また染色の色の違いで陰陽を判定することまで示されていてスゴイと思った。
・「社会医学」のところでは、保険制度で病人が増えて、いずれは医療費が膨らみ国家財政を圧迫することまで予言されていてスゴイと思った。
・細菌はあくまで命なき物を分解する過程で出てくる残骸みたいなもので、細菌自体が病気を起こしている訳ではないという考え方は、時代の一歩も二歩も先をいっている。
などの感想が出てきました。その他、勝又初枝代表が「東洋医学の神髄がこの本には表れている」、元MI生の斎藤武二さんからは、執筆当時の時代背景などの解説を貰いました。
■今回の差し入れ
タイガーナッツ・ジャパンのきれすけいこさんが、オルチャータプリンの差し入れをしてくれました。オルチャータとはタイガーナッツの絞った液です。アガベーシロップに漬けたタイガーナッツを添えていただけました。とても優しい味がして美味しかったです。
次回は、5月中旬を予定しています。課題図書は、「兵法七書の新研究」です。
日程が決まり次第お知らせしますので、ぜひご参加お待ちしております。
(レポート:桜沢如一資料室 室長 高桑智雄)