【活動報告】5/12「PDF書籍ライブラリー読書会」レポート

2018年5月12日に桜沢如一資料室にて、「PDF書籍ライブラリー読書会」を開催しました。

今回は前回に引き続き、1943(昭和18年)、桜沢如一51歳の時の時の作品「兵法七書の新研究」を課題図書として、7名が参加して感想をシェアしました。

兵法七書の新研究

同年4月に発表されたガンジーとダゴールを取り上げインドの二大精神を解説した『最後にそして永遠に勝つ者』に続く、戦時下における東洋の精神および日本の精神のあり方を説いた作品です。

明治の思想家、高田集蔵から紹介された中国における兵法の代表的な古典である七つの書(『孫子』『呉子』『尉繚子』『六韜』『三略』『司馬法』『李衛公問対』)の中に陰陽無双原理の価値観を見出し、「柔よく剛を制す」「百戦百勝は善の善なるものに非ず。戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり」の東洋的兵法のあり方を忘れた日本の敗戦を導き出します。

本編は、兵法七書の代表的である『孫子』を中心に東洋の精神の科学的論証である陰陽無双原理の解説、付録には高田集蔵との対談、ある大教授との対談などを通じて、日本の敗戦論、ダゴールやガンジーのインド精神である「最後に永遠に勝つ唯一の道」を説きます。

また付録最後にある「戦争と恋愛」というコラムは、戦争と結婚生活を対比した桜沢らしいユーモアに満ちた戦争論の無双原理的本質が展開されます。

 

※高田集蔵・・・明治〜昭和期の宗教家、思想家
生年:明治12(1879)年10月1日 没年:昭和35(1960)年10月10日 出生地:岡山県 別名号=竹隣 学歴〔年〕:東京専門学校法律科中退
経歴:内村鑑三の感化でキリスト教の洗礼を受けるが、キリスト教だけでなく、仏教、神道、儒教などの多様な宗教の帰一・統合に努めた。大正期に思想家、宗教家などの間に広まる個人紙誌を発行した先駆者で、講演行脚のかたわら「独立」「村落通信」「一艸蘆」などを発刊、また「聖痕」など多数の著書を刊行し、中里介山らに影響を与えた。天皇を崇拝し続けた反面、軍備全廃を唱えた平和主義者でもあった。

 

【お詫び】
PDF化の際に、146~156ページが落丁しておりました。大変申し訳ありません。修正が出来た際には差し替えを行います。

 

■参加者の感想

 

・ヒットラー賛辞の文章があり驚いた。当時ヒットラーは快進撃をしていた頃で、転落後の感想を桜沢先生に聞いてみたい。桜沢先生も完璧ではなかったことがわかった。
・西洋の兵法と東洋の兵法の違いが分かりやすく解説してあった。
・最後のまとめで「外よく柔(あくまで陰)にして、内よく剛(あくまで陽)ならざるべからず。心、神の如く剛に、身、処女の如く柔軟(内剛外柔)たらんと欲すれば『むすび』の精神、無双原理、マコトの世界観を生活するよりなし。柔軟心と剛勇身(外剛、内柔)は一切の災禍と罪悪の根源なり」という言葉を、素行と孫子の言葉と並べているのか、桜沢先生らしい。
・はしがきの「二六〇三年」(皇紀)の意味が分からなかった。
・陰陽表の「アイウエオ」がなぜ、アが陰でオが陽なのか疑問。
・「ナゼ陽のみを要する病人に陰の油を与えるのか」の意味が知りたい。
・戦争の目的は、最終的には「生活の維持、強化」が目的だから、最後は生活戦での勝利者が最後勝利者となる。だから桜沢先生のいう『真生活』が大切なのであって、それが出来る人が最後の勝利者となる。

 

 

今回「兵法」というあまりにもマニアックな課題図書だったので、次回は少し読みやすい「天国の鍵」を課題図書とします。
6月か7月を予定していますので、日程決まり次第お知らせ致します。

天国の鍵

(レポート:桜沢如一資料室 室長 高桑智雄)

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