【活動報告】6/24「PDF書籍ライブラリー読書会」レポート
2018年6月24日に桜沢如一資料室にて、「PDF書籍ライブラリー読書会」を開催しました。
今回は読書会を始めて以来、初めての戦後の作品「天国の鍵」が課題図書でした。
1945年8月の終戦2年後の1947年は教育基本法・学校教育法公布や新憲法の施行など戦後の新しい体制が急ピッチで築かれる年で、公職追放令の改正もあり、桜沢自身も著書「日本を亡ぼすものはたれだ」によって翌年公職追放を受けた56歳の時の作品。
1947年は教育基本法や学校教育法の公布された年で、敗戦後の復興期で新たな日本の体制が明らかになりつつある社会の雰囲気に触発された作品といえます。
日本再建において「教育革命」が最も重要であり、翌年のM.I.(メゾン・イグノラムス)創設に向かう、戦後の桜沢の活動の中心である人材育成の基本指針となる書でもああります。
敗戦した日本の教育の欠点、そして戦勝国の教育の利点と欠点を分析して、あらたなPU(無双原理)による教育の理念や体制を細かくプランニングして提案。そこには「人間は生まれつき、すべての自由と幸福の世界の市民たるの資格をもっている」というあたりまえのことの『生理的現象』を教えることを忘れた教育、そしてその教育が引き起こした世界大戦という悲劇を二度と繰り返さないための桜沢流の宣言書でもあります。
戦中の雑然とした書きなぐりの書に比べて、落ち着いて体系だっており、桜沢作品の中では比較的読みやすく1990年まで再販された代表作の一つである
■参加者の感想
・PU(無双原理)こそ天国の鍵、日本の敗戦の原因は教育者、観念だけを教える日本の教育、とにかく言葉のインパクトが凄すぎる。
・この本が書かれた後、桜沢の意図とは真逆の物質至上主義に日本はなって行く。この状況を桜沢が今見たらどう思うか?
・対話形式が挿入されているのでわかりやす。一方「生理学的、生物学的」など、女子には難しい表現が多用されている。
・欧米批判を繰り返す桜沢の印象からすると、珍しく健康観が盛り込まれている欧米の教育を褒めている。
・男尊女卑的な言葉が多いが、それは時代なのか?
・86Pのコンパスで北が陰性、南が陽性、東が中庸と書いてあるが、西は?
・88Pの陰性の食物を陽性にして食べることの原理に感銘を受けた。
・第二次世界大戦後の日本人は、それまでの精神的支柱としてきた価値観を一夜にして失ったが、桜沢はここを逆に日本人のまたとない再生のチャンスとして捉えていた。
・桜沢の最重要本の一つだ。
今回は差し入れに、事務局からカレー蒸しパンがありました。
やはり桜沢先生の読書会は、難易度が高いのか、なかなか参加者が増えません(笑)
でも今回参加してくれた方々は、とても熱心に読んでくれて、感想もたくさん寄せてただき、熱のこもった会になりました。
次回課題図書は、「続・永遠の少年」になります。日程は決まり次第お知らせします。
ぜひご参加お待ちしております。
(レポート:桜沢如一資料室 室長 高桑智雄)