【活動報告】9/2「PDF書籍ライブラリー読書会」レポート
2018年9月2日に桜沢如一資料室にて、「PDF書籍ライブラリー読書会」を開催しました。
今回の課題図書は、1954年には発表された「続・永遠の少年」です。
桜沢は、1945年8月の終戦後、平和主義、民主主義の普及のための世界政府運動と世界に通用する人材育成に積極的に務めます。1953年に61歳にして、世界無銭武者旅行と称して、「サードハナ」号にてインドに渡る船中で執筆した本で、以降10年に及ぶアフリカ、欧米各国でマクロビオティックの普及活動を行うことになります。
1952年の少年少女向けに書かれたベンジャミン・フランクリンの伝記を中心にした「永遠の少年」は、今も版を重ねる桜沢の代表作ですが、その続編として1954年に書かれたのが、インドの独立の父、マハトマ・ガンディーの少年時代をとりあげた「続・永遠の少年」です。
1953年に世界無銭武者旅行に旅立ち、最初の目的地であるインドを目指すサードハナ号の船中で執筆された桜沢62歳の時の作品です。戦後、桜沢は平和主義、民主主義の普及のための世界政府運動と世界に通用する人材の育成に積極的に取り組みます。1948年のM.I.(メゾン・イグノラムス)の創設、1952年に少年少女向けの「永遠の少年」の出版は、戦後、戦争を起こすに至った大人たちの意識が変わらない事への苛立ちと、これから新しい価値観を受け入れる素地のある若者への期待が込められています。
「続・永遠の少年」は、60歳を過ぎて世界武者旅行に出る桜沢の少年のような高揚感と、後にする日本の少年少女への置き土産として、これから向かうインドの英雄ガンディーの心の冒険を模写しています。決してガンディーの歴史に残る偉業を紹介するわけではありません。偉大な事を成す人は、常に自分の心の葛藤から逃げずに取り組くむ人であるという少年少女へのメッセージとなっています。
また、婦人参政権など、女性の権利獲得に奔走した活動家、平塚らいてうが序文を書いているなど歴史資料としても貴重な作品でもあります。
■参加者の感想
・ガンジーが泣き虫、ダンマリ、低能、運動嫌いで、字がヘタで、盗みまでした少年と、冒頭での櫻沢如一の言葉にビックリした。
・どうして偉大な指導者になったのか、その秘密を知ることへのワクワク感があった。
・櫻沢は、盗みよりも、ウソをつくことは、もっと恐ろしいという。なぜ、人間は、ウソをつくのか? それは、チエがあるから。でも、ウソつく自分を、ウソつかない自分にする人がエライ人というところになるほどと思った。
・ニュートンは、海辺の貝殻を拾っただけだが、真理の海を見つける者が、幸福と無限の自由を手に入れるというところになるほどと思った。
・菜食といっても、土地、気候、伝統、体質、時代により、同様なものではいけない。20世紀の新しい食生活の原理が確立されねばいけないというところになるほどと思った。
・健康であれば、君は世界革命、人間革命という大事業に着手できる!と、最後に、少年少女にエールを送っていました。すごいぞ、櫻沢如一と思った。
・法政大学大学とはどんな縁あったのか?
・いつもの桜沢らしさがなく、引用が多いためが、あまり心にグッとこなかった。
・船中で書いているのが影響しているのか、作品としての完成度は「永遠の少年」に劣る。
・当時、法政大学出版の相沢敏夫氏と桜沢は縁かありこの本を書くことになった。題材としてガンディーを扱っているが、事実上自分の人生を投影して書かれた自己批判の書である、
・インドの解放運動のガンディーを扱ったこの本に、婦人解放運動の平塚らいてうが序文を書いていることに感銘した。
次回課題図書は、「フリップ物語」になります。日程は決まり次第お知らせします。
ぜひご参加お待ちしております。
(レポート:桜沢如一資料室 室長 高桑智雄)