【活動報告】11月のプチ勉強会「肉食について考える」

11月30日(土)に年内最後の活動に18名と過去最大規模の参加者が集まりました。
みなさん今回のプチ勉強会のテーマ「肉食」についての問題意識が参加理由にあったようです。
なので整理活動はお休みして、フルの勉強会に変更させていただきました。

 

■資料室の資料を参照して「肉食」についてを考える

世界的なトレンドとなりつつあるビーガンの社会的認知の中で、マクロビオティックは「肉食」をどう位置付けるが問われる時代になっています。

ビーガンとマクロビオティックの違いを考える前に、桜沢如一は「肉食」をどう捉えていたかを見ていく必要があります。

桜沢如一は、活動当初から「肉食の害(『砂糖の毒と肉食の害』1939年)」を訴える一方、「時と処によっては、或いは場合によっては、野菜の三分の一以下の鳥、魚肉、玉子など加えてもよい。(『新食養療法』1939年)」というような身土不二に即した肉食許容の食事法を提案をしていましたが、時代を追って徐々にMI生などの弟子たちには動物性を一切摂らない「純正正食」を指導するようになりました。

 

砂糖の毒と肉食の害

そんな中、1958年にGOL通信として弟子向けに宛てられた「純正精進食はしなくてもいい」という手紙は、桜沢の「肉食」に対する最終的な結論を示されたテキストとして、『世界無銭武者旅行(1958年)』(一部掲載)、『新しき世界507、508号(1979年)』(全文掲載)に掲載され、後世の研究課題となりました。

「純正精進食はしなくてもいい」という刺激的なタイトルを桜沢はどういう思いで付けたのか?
実際に『新しき世界507、508号(1979年)』掲載のテキストを参照しながらその真意を探りました。

 

『新しき世界507』日本CI協会マクロビオティック図書館より

このテキストはMI生の菜食論についての意見交換会の様子に、一つ一つ桜沢が批判をしながら桜沢の菜食論を展開していく内容になっています。桜沢はMI生の「動物性はいらない組」、もう一つは「動物性をつかってもよい組」、そして最後に「時と所による組」をことごとく批判し、自身の宇宙論からの解釈、そしてそこから導かれる人間の食物が植物性のものに求められる6つの理由を展開します。

『健全な処女性の人間の血と肉はクロロフィールとその果実によってのみ創作される』(菜食主義の生物学的理由)

『イカナル動物も動物食なしに生きるコトはできるが植物なしには生きる事は出来ない』(同、生理的理由)

『イカナル動物も動物食のみの世界では早晩滅亡を免れない』(同、経済的、社会的理由。相互の殺数は自滅の道)

『イカナル動物も植物のみの世界ではケッシテ滅亡しない』(発生学的理由)

『動物食は倫理的、論理的に最も大きなミステークである。(共食い、自殺)』(栄養学は肉食中で人間の内を食うコトが最上であるコトを教える。その人肉中でも親の内が最も消化しやすく、吸収もしやすいと教える――現にその一例をあげれば佐伯矩氏の暴論の如く倫理をギセイにする事は許されるかもしれない。即ち弱肉強食の世界であるから、親の内を食う事は許されるかもしれない。しかし、「弱き肉」を食う事は、自分を弱者にする事である。)

『ヘモグロビンが植物のクロロフィールの直接の産物である、と云うコトは、人間にとって最後の動物界脱出の道を示すものである』クロロフィールは人間が動物以上のある種(スペシイス)になる可能性である。

そして桜沢は正食(純正菜食)こそが無限の自由と、永遠の幸せと、絶対の正義を身につける(スナワチ最高判断力をもち、アラユル思想と技術と行動に最高の審判を下す人になる)のに、「最短のコース」であるとします。

桜沢の思想は、あくまで絶対菜食論なのです。しかし、桜沢は一方ですべての人が純正精進食をする必要がないと言っています。

「純正正食としての精進無糖料理は百万人にただ一人だけ理解し、実行すればよい道である。アトの九九万九千九百九十九人は絶対に正確に実行しない方がよろしい。」

とても逆説的展開ですが、桜沢は後半でマクロビオティックは肉食を否定するものではないと言っています。

「無双流は肉食を否定するモノでもなければ所謂ヴェジタリアニズムを賞め称えるモノでもない。無双流は無限の自由と、永遠の幸せと、の正義を身にシッカリつける技術、スナワチ食物のセンタク、組み合せ、料理法、たべ方(食生活法)である」

 

『新しき世界508』日本CI協会マクロビオティック図書館より

つまりは、桜沢は短絡的で感情的な肉食の肯定論も否定論も一切認めません。ただ宇宙の秩序としては、人間はあくまでも植物を材料として生まれてくることが真理であることを認めよと言っているわけです。だから人間の食べ物はあくまで植物性食品に求めるべきだと。

しかし、生活におけるさまざまな状況においては無双原理、つまり陰陽を使って調和せよと。原理なく菜食を貫くことややみくもに感情的に肉食を否定することは、マクロビオティックの徒ではないといってるわけです。

最後にこの桜沢の菜食論が端的にまとめられた『東洋医学の哲学』第4章人間の起源、生命は食物からの項を参照しました。そしてMI生として現場にいた斎藤武次さんに、当時の状況を解説頂きました。

桜沢の宇宙の秩序が示すように、人間はいずれ菜食の時代になっていきます。だから現在の海洋汚染や家畜のウイルス感染、そして地球温暖化も実は人類が菜食になっていく必然的な過程なのかもしれません。今後ますますマクロビオティックの思想が必要な時代が来ることを参加のみなさんで確認して終わりました。

 

■ちょっとはやいクリスマスパーティー

最後は参加者のみなさんからの素敵な差入れで、ちょっと早いクリスマスパーティー。
おかげさまで今年最後ににぎやかではなやかな活動日になりました。

参加していただいた皆さまありがとうございました。

そして来年の活動もみなさま何卒よろしくお願いします!

 

レポート
桜沢如一資料室 高桑智雄

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